妊婦の方で歯が痛いのに我慢している方はいらっしゃいませんか?
強い痛みを我慢しているストレスも、おなかの赤ちゃんに悪影響を与える可能性があります。妊娠中のストレスは、流産や早産、低出生体重児のリスクが増加するとの報告があります。我慢せずにぜひ、歯科医院で相談してみてください。きっとお子様への影響がすくないお薬や治療を行ってもらえます。当院でも産婦人科の先生とも相談しながら、妊婦のみなさまをサポートしていきます。ここでは、妊婦の方の歯科治療の情報を少し書きたいと思います。
(妊娠13週までは危険期)
痛み止めや抗生物質などで、胎児に絶対安全!というお薬はありません。ではお薬を飲まずに我慢がいいのかというとそうではありません。激しい痛みが伴う場合はお母さんのストレス反応が胎児に悪影響も与えます。そのため、比較的安全なお薬や治療を行います。妊娠13週までは赤ちゃんのさまざまな器官が作られている時で奇形などの発生異常が起こりやすいので注意が必要です。
(応急処置なら中期に)
どうしても妊娠中に治療をしなければいけなければ、妊娠中期(16~27週)に行います。一回で終わらない治療もあるので、後期にずれないように注意が必要があります、レントゲン写真も胎児の被ばく線量はほとんどなく心配ないです。ただ、つわりがひどい場合は、フィルムいれて撮るのがつらいことがあります。局所麻酔をふつうの量で用いてもお母さんと赤ちゃんの影響はありません。妊娠中は、精神的に不安定になることもあるので痛みのない状態で治療することが大切だと思います。
【妊婦特有の症状】
妊婦さんにみられるお口の中の症状に以下のようなものがあります。
(問題ない歯が痛く感じる)
妊娠性歯痛とよばれ、健康な歯なのに歯が痛く感じることがあるようです。刺激が加わると多数の歯が痛く感じます。通常は、数か月で自然になくなります。
(妊娠性歯肉炎)
妊婦の約3割の方に起きます。女性ホルモンの増加で歯肉炎が悪化するようです。ただ原因は、通常の歯肉炎同様の細菌と考えられているのでお口を清潔に保つことが治療になります。歯科医院で適切な清掃指導を受けてください。
(妊娠性エプーリス)
1%程度の妊婦に発生する、歯茎できるできものです。悪性のものではなきので安心してください。出産後も経過をみていきます。
【治療時の注意】
・立ちくらみ(体位を変えたり、気温が変化したときに一時的に脳に血が回らなくて立ちくらみを起こすことがあります。夏や冬場に冷暖房が効いている診療室からでたときに立ちくらみを起こす場合があります。できれば、付き添いの方と一緒にお越しください。)
・頻尿(赤ちゃんが入って大きくなった子宮によって膀胱が圧迫されたり、ホルモンの作用などでおしっこが近くなることがあります。診療中トイレに行きたくなったら我慢せずに何度でもいってください。)
・つわり(ゴムや薬品などに臭いで気持ち悪くなることがあります。)
・腰痛(妊娠時に腰痛がでる場合があります。楽な体位を教えてください)
歯やお口の状態を書き込みますので、母子健康手帳を忘れずに!